神巻だったな!
いい意味で二転三転するデブの心情と後輩の真意に涙線をやられましたわ…。
扱いづらいと思われた後輩をここで活用してくるとは…「作者うまいなっ!」と素直に思いました。
前巻までは「ライバルがどうのこうの~」という他校との関係をクローズアップした話が多かったですからね~。
今巻は1巻まるっと身内…しかも古参メンバーの問題解決の話でしたので存分に感情移入しながら読むことができましたわ。
あらすじ
愛たちは一英高校の演奏に刺激を受け、練習の質を上げる取り組みを始める。しかし、練習中に通孝の母が骨折したとの一報が!? 五人兄弟の長男である通孝は母の具合が良くなるまで、妹の杏と分担して家事を全て行う事になり、練習に割ける時間がなくなってしまい…!?
(引用元:Amazon「この音とまれ!」21巻の内容紹介より)
現在21巻まで発売中。(2019年10月4日現在)
感想
①デブの想い
一人だけおいてきぼりは嫌だよな~
母親が入院して幼い兄弟たちの面倒を見なければいけなくなったデブ・堺通孝(さかい みちたか)。
練習時間が取れなくなってしまったため先生が「おまえのパートだけ調整する」と提案してくれますが、堺は「頑張るからこのままやらせてくれ!」と強く訴えます。
そして子守に部活と頑張ろうとする堺ですが、練習時間が十分に取れない環境はあまりにも大きすぎて他メンバーと差がつきすぎてしまい…
という話が21巻の内容となっております。
わかる…わかりますよ…
一人だけ「パート簡単にしてやる」とか言われたらそりゃ嫌ですわ…。
そして必死に頑張っているところに後輩からダメ出しされて「なんで簡単にしてもらわないんすか?」とか言われたら…
普通にキレるわな
今までいまいち目立たなかった堺が本音をぶちまけたり最後に号泣したりして…堺の置かれた環境や気持ちを考えると普通に涙が出ますわ…。
サブキャラに味が出ると作品全体の質が上がった気がして得した気分になりますね。
②後輩の真意
なんだかんだでやさしい奴なんだよな…
部活にいまいち馴染めない変わり者の後輩・百谷夏都(ももや なつ)ですが、なんだかんだで一番周りを見ているのもこいつなんだよな~と思いました。
堺に「ダメだし」したのも「どうして簡単にしてもらわないのか」と煽るように言ったのもすべてその観察力から出た言葉で…まさかあんな想いが込められているとは思わなんだ…。
実は徐々に変化し馴染み始めている後輩をうまく描いていると思いました。
完全にだまされましたわ~。
③その他のメンバー
他のメンバーもいい味出してた!
読み終わった直後は堺と百谷の印象が強かったのですが、もう一度読み返してみると他のメンバーも結構いい味だしているんですよね。
・堺の家に行き、交代で家事を手伝うことを提案する昔からの仲間たち
・自分の琴を堺に貸し出し、今までの感謝を述べる主人公の愛(ちか)
・堺に想いをぶつけられて衝撃を受けた百谷に的確なアドバイスを送る部長
・兄の部活への想いを知り、家事を引き受けようとする堺の妹
などなど、一度落としてからの盛り上げが今巻はすごかったです。
この「一人はみんなのために みんなは一人のために」という精神が部活ものの大きな魅力の一つだと再確認することができる巻でした。
まとめ
熱い展開だった!
堺の家庭問題からまさかこんなに熱い展開になるとは夢にも思わなんだw
正直「この音とまれ!」の中で一番好きな巻になったかもしれませんね。
「この音とまれ!」は登場人物の行動にイライラすることもありますが、優しげな作画に反して部活ものの熱い王道が詰まっている良作だと思います。
10月5日(土)からアニメの第2クールも始まりますし、これからの展開も期待したいです。