おすすめ度:★★★★☆
ジャンル:ファンタジー ダンジョン系 タイムトリップ ラブコメ(小) 人情系
目覚めたら最強職?…5年間鍛え続けた成果よな?
今回は『迷宮メトロ 1~目覚めたら最強職だったのでシマリスを連れて新世界を歩く~』という作品を読んでみました。
内容としては何故かダンジョン内で100年間眠り続けていた主人公が目覚め、とある災害により変わり果ててしまった東京で己を鍛えながら生き抜いていくお話ですね。
面白さとしては…
思った以上に面白かった!
主人公の特性や立ち位置、相棒のシマリスとの漫才、ヒロインの登場、特殊スキルや変わり果てた東京の設定などが良く練られていました。
それゆえにタイトルの「目覚めたら最強職だったので~」という部分がちょっと引っかかります…。このタイトルじゃ何の努力もせずに強さを身に着けてしまったように感じません?
実際は目覚めてから5年間、ダンジョン脱出のために相棒のシマリスと共に命懸けのレベル上げに挑んでいるんですよね…。
そういうわけでこの作品は「なんかチートスキル授かっちゃった!ラッキー!」といったものではありません。何度も死にそうになりながらもダンジョン脱出を果たした根性系の作品となっております。(1巻の2/3ほどを占めている)
なんというか…ジャンプに古来より受け継がれている「努力・友情・勝利」というワードが好きな人におすすめの作品です。面白いのでダンジョン系が好きな方にはぜひ読んでもらいたいです。
あらすじ
新米社会人・阿部愁(アベシュー)が目を覚ますと、そこは変わりはてた百年後の“トーキョー”だった。しかも、モンスターが溢れる迷宮“オオツカメトロ”の地下五十階。
何の知識もなく放り出されて途方に暮れるしかないアベシュー。そんな彼の前に現れたのは、おしゃべりなシマリス女子(?)タミコだった!!
「かりゅーどさん、いっしょにちじょうにでるりす」可愛いタミコを相棒に迷宮脱出を目指すことにしたアベシュー。レベル1しかなかった彼は【不滅】という不死身スキルを駆使してどんどん最強への道を駆け上がる!!
一人では無理でも、一人と一匹ならどうにかできる!! 最強職の最弱狩人とふわふわ魔獣のコンビが送る最高の冒険が今、始まる!!
(引用元:Amazon『迷宮メトロ 1~目覚めたら最強職だったのでシマリスを連れて新世界を歩く~』1巻のあらすじより)
HJ NOVELSより刊行。2巻まで発売中(2021年1月5日現在)
感想
各巻の流れ
脱出、のち狩人(冒険者)
現在この作品は2巻まで発売されていますが、本編の構成としては以下の形となっています。
1巻 → 5年間必死にレベルを上げてダンジョンから脱出。のちヒロインに出会う
2巻 → これからどうしていくかヒロインと交流しつつ模索。狩人の試験を受ける
簡単に書くとこんな感じです。
2巻から多少「俺つえー」的な部分は出てきますが、1巻にて色濃く努力の様子が描かれていたため違和感はまったく感じませんでした。
むしろ2巻では100年後の世界において自分の生活や立ち位置をどううまく回していくかに頭を悩ませており、それが非常に面白かったです。
スキル
読んでいて面白いスキル設定
この作品の面白さとして、狩人がもつ菌能(スキル)の設定もありましたね。
この世界の人たちは体中に菌が張り巡らされている状態なのですが、それを利用して菌能という特殊能力を使って生活しています。
この菌能という特殊能力…「体から武器を生成する」「体内の菌を強化して筋力アップ」「胞子を周囲に巻いて索敵・感知」「背中から菌糸で作った腕をはやす」などとってもバリエーション豊か。私たちが日常的に感じる菌のイメージをうまく利用しており納得しやすいものが揃っていました。
他にも火や雷を発生させる菌能や食べると傷が癒える魔法のようなものもありましたが…「まぁ東京の文明を粉々にしちゃうほどの菌だしなw」という謎の説得力をもって簡単に納得。違和感は感じませんでしたね。
なんというか…ジャンプ的なノリといえばいいのでしょうか?菌という現代でもよく分からんものと文明が崩壊したという時代背景をうまく用いて説得力を増していたような気がします。
相棒との漫才
「相棒がシマリスかよ…」とか思っていてすいませんでしたっ!
100年後に唐突に目覚めた現代人・阿部愁(アベシュー)ですが、そのそばにはいつでもしゃべるシマリス・タミコがいるわけでして…
この二人のやり取りが秀逸w
5年間ダンジョンで一緒に生活してきた二人には厚い信頼感が芽生えているわけでして…お互いがお互いの命を救ったり協力して敵の裏をかくシーンではジャンプ的な熱さを感じました。
会話のやり取りに関しても片方が調子に乗れば片方がそれをいじくるという役割がしっかり構築されていたのが良かったです。特にタミコは…愁の乳首と童貞には容赦がないw
お互いに遠慮のないやりとりがまさに相棒といった感じでした。
ヒロイン登場
ヒロインの登場は遅め
本作のヒロインは100年後の東京で逞しく生きる狩人の少女イカリ・ノアとなっております。この少女は強力な菌能は持ちませんが、常識や菌能の情報といった面で愁をしっかりサポートしてくれます。
そしてこのノアなんですが…
読み始めてもなかなか登場しませんw
1巻の本編4/5くらいでようやく出てくる感じじゃないですかね?
いや~、ここまでヒロインが出てこないのもなかなか珍しかったですね。でもこのヒロインの登場の遅さ…この作品に関してはあんまり気にならなかった!
1巻はとにかく愁とタミコのダンジョン脱出の描写に使われていましたからね。そしてそれがまた読めば読むほど面白くなっていくんですよ。
というわけで個人的にはヒロインの登場が遅くても気になりませんでした。2巻でしっかり出番もありますし…ヒロインとしての不足感はありませんでしたね。
タミコの物語
泣いた
1巻の巻末に本編とは別に挿入されているタミコとタミコの母の物語…
正直これは泣いた!
タミコの母の境遇を考えると泣かずにはいられませんでしたね。娘が生まれた嬉しさ…一人で何とかしなくてはいけない不安…愛しい娘の成長など母親としての辛さと幸福が存分に描かれていました。
そして最後のシーン… 母親の強さがこれでもかと描かれていましたね~。
本編も面白いのですが、この内容も素晴らしいものがありました。この作品を読むときはぜひ1巻の最後まで読み切ってもらいたいです。
まとめ
予想以上に主人公が努力していて面白かった!
タイトルだけ見るといかにも最初からチート能力もっていそうな感じなんですが…実際はまったく違いましたね~。1巻分かけて愁の努力をしっかり描いてくれていたのが個人的には好印象でした。
あとは相棒のタミコ。あらすじとAmazonのコメントだけみたときは「相棒はヒロインじゃなくてシマリスなのか…」と多少落胆した気持ちになりましたが…今ではタミコが相棒で良かったと思っています。
小動物のタミコをあそこまで人情味に厚く可愛く描くとはな~。でも相棒としては100点満点のキャラクターだと思いました。
3巻が発売されるかどうかはよくわかりませんが…個人的には愁とタミコのやり取りやノアとのラブコメがまたみたいので出してもらいたいところですね。
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